茶会を通じて分断を調和に変える、空間ごと作品化されたインスタレーション
“Ichinen” ーーThe Life Force at Every Moment
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概要
2024年12月、世界屈指の国際アートフェア「SCOPE MIAMI BEACH※1」にて、株式会社TeaRoom※2と共同でインスタレーション作品を発表しました。コンセプトは「一盌(いちわん)を通じた祈り」。茶会そのものをインスタレーションとして捉え、茶室、茶器、設え、茶会を開催する権利までを含む空間と体験ごと作品化するという試みです。この挑戦は世界から高く評価され、作品は数千万円で販売されるという大きな成果を収めました。
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プロジェクトの背景
この企画は、2023年に同アートフェアでプロデュースしたアート茶会の成功から生まれました。前年の茶会は「NEO WABI-SABI」をテーマに掲げ、4日間で約800人が参加し、常に30分から1時間待ちの行列ができるほどの注目を集め、出展した全130ギャラリーの中でNo.1の展示体験評価を獲得しています。
この成功を礎に、B-OWNDが掲げる思想を具現化する挑戦として、茶会そのものの作品化へと発展させました。それは、作品単体を「点」で評価する西洋的な価値観に対し、茶の湯のように建築や道具など多様な要素が統合された総合芸術を「面」で評価する、という新たな土壌づくりです。 -
作品について
• 作品名: “Ichinen” ーーThe Life Force at Every Moment
• アーティスト名: TeaRoom
• 制作年: 2024年
• コンセプト: 「一盌を通じた祈り」。茶を単なる飲み物ではなく、分断を調和へと変える一念の象徴として捉え、刹那の調和と静謐な美を見出す儀式として位置づけています。
• 作品構成: 茶室、茶会で使用される全ての茶器、掛け軸や花器などの設え、そして茶会を開催する権利がすべて含まれています。 -
展示概要
• 展示会名: SCOPE MIAMI BEACH 2024
• 会期: 2024年12月3日(火)~12月8日(日)
• 会場: SCOPE MIAMI BEACH pavilion(アメリカ・フロリダ州マイアミビーチ) -
関係者のコメント
岩本涼氏※3(株式会社TeaRoom 代表) :
「千利休が行った、場作り。場の価値を高めてこそ、その工芸の価値も上がっていく。この度のアートフェアにて、場を創造してきた私たちにとって、世界に大切な問いを投げかける素晴らしい機会をいただきました。改めて自国の文化と向き合い、この国が問うてきた価値を、世界へ価値としてお届けしたいです。」
石上賢(B-OWND プロデューサー):
「作品を通して茶の湯が持つ多次元的・多層的な文脈の魅力を新たな形で表現していくと共に、作品単体で消費されてしまう西洋式の『点』の評価方法を踏襲するのではなく、さまざまな文化的要素を統合できる様式を含んだ『面』で評価される土壌をつくり、日本の工芸品や文化が持つ歴史性と付加価値をアートの文脈との接続により創出する試みを開始いたします。」
※1 SCOPE MIAMI BEACH マイアミビーチの会場に130以上の国際的なアートギャラリーが出展する、世界屈指の国際アートフェア。B-OWNDは2023年に初出展し、2024年も継続して参加しています。
※2 株式会社TeaRoom 代表取締役・岩本涼氏が2018年に創業した、日本茶の生産から販売、事業プロデュースまでを手がける企業。茶の湯文化の継承と発展を目指し、国内外で多様な文化体験を提供しています。B-OWNDとは2023年5月に業務提携を締結し、羽田空港でのイベントやマイアミのアートフェアなどで協業しています。
※3 岩本涼氏 1997年生まれ。幼少期より裏千家で茶道経験を積み、21歳で株式会社TeaRoomを創業。裏千家より茶名「岩本宗涼」を拝命し、茶人としても活動。グローバルビジネス誌「Forbes JAPAN 30 UNDER 30 2022」に選出されるなど、国内外で活躍。